2000/06/14 モンゴルの日常生活
  ウランバートルは、酷暑が一段落して22度前後の過ごしやすい陽気です
雨は少なく乾燥していますが、良い季節です。
乗馬や地方へのドライブが楽しい季節ですが、蠅や蚊が多くて閉口します。
でも、マラリアはないのでアフリカや東南アジアよりはましですが。
山で蚊に刺されまくって高熱と眼窩後部痛と頬部発疹の患者が来ました。
デング熱様症状にて保健省に問い合わせましたが、
モンゴルにここ20年間デング熱の発生はないとのこと。
血清診断も無理っぽいのでこの追跡はここまでですね。
   
  さて、今回は、日常生活の話をしましょう。まず、通貨ですが、トグログ(Tg)です。
1US$=1000Tg 前後で、10Tg=1円といった感じ。だいたい物価は日本の10分の1といった感じです。
たとえば、ソフトクリーム 200Tg、散髪 4000Tg位。
散髪が400円で出来てしまうので日本人にはえらく安く感じますね。
美容室は案外まともで、シャンプー2回、ちゃんとハサミで切ってくれて、
全工程30分で終了。さすがに際剃りは断りましたが。(B型肝炎多い)
 
  電気製品は贅沢品なのでかなり高めです。最新式のワイドフラットテレビも売ってますが、
32インチでソニーのは 1,500,000Tg 位でした。日本と同じ位ですね。
規格は全部220Vなので、日本から持ってきた電化製品を使うのにはトランスが要りますが、
なかなか入荷しないので困ります。かといって日本で買って持ち込むと、重いので高くつきます。
肉の国なので焼き肉を食べようと思ってホットプレートを捜していますがまだ買えません。
ガスはなく、全部電気コンロです。そのため、中華鍋は使えません。
停電が多く一回消えるとすぐ温まらないので料理が台無しになることがあります。
夏はけっこう暑いけど、年間の平均気温はマイナス3度とのことで、クーラー売ってません。
扇風機で我慢です。冷凍庫はたくさんあります。やはり肉保存用でしょうか?
腰くらいの高さので約 300,000Tgでした。乾燥しているので、加湿器が必需品と思いますが、
あまり売ってません。日本人は暑さ、寒さ、湿気、乾気の何れも苦手で弱い民族のようですね。
中国製のプレイステーション1も売ってますが、ごく限られたお金持ち用でしょう。
肉は、かたまりで売ってます。挽肉はミンサーを買って自宅で作りますが、
筋が多く粗挽きにしかならず、獣の味がします。この感じ伝わりますか?
薄く切るのも至難の業で、せっかくだから思いっきりすき焼きをしようとしたら
焼き肉の甘辛煮のような別の料理になり失敗しました。
霜降り肉は手に入りませんが、せめて薄く切らないと美味くないものですね。
おかげでスライサーを急遽購入しましたが、しゃぶしゃぶ肉は作成困難です。
   
  野菜は意外と種類あります。
モンゴル人にとって野菜は馬や牛の餌と言って食べたがらない傾向はありますが、
種類増えてきました。実際、ビタミンB不足のためか、とてつもなくでかい口内炎がいます。
それこそ頬に穴が空きそうな潰瘍になって! 野菜は中国からも入ってきます。
大根、白菜、キャベツ、太い胡瓜、カリフラワー、細いネギ、ホウレンソウなどや、
米も日本の援助米が買えます。
逆に買えなくて困るのは、納豆、豆腐、魚(鮮魚、干物ともに)、海藻(海苔、ワカメ、昆布)、
サツマイモ、美味しいお菓子、などですね。ヨード不足で甲状腺疾患が多く、
JICAが塩にヨードを混ぜて市民に摂らせようと活動しています。
チェルノブイリの近くで留学・就労していた人も多く(親ロシアの傾向大です)、
甲状腺障害はかなり深刻です。
   
  地方のテント住居(ゲルといいます、パオは中国語。
モンゴル人は中国と仲が悪いせいかパオというといやな顔をされますので注意です)
民族料理をごちそうになると、手作りのヨーグルト、ミルクティー、チーズ、バター、を
堪能出来ます。美味しいのですが、最初はまずおなかが緩くなりますね。
気合いを入れて慣れていこうと思います。
地方での主食は、肉を小麦粉の皮で包み、煮たり蒸したり、焼いたりした料理です。
ボーズ、ホーショルと言ってモンゴルの女性は誰でも作れるそうです。
餃子のようなものですね。肉うどんもよく食べますが、羊が主のためにおいがきつく、
獣の味がします。チキンはあまり見ません。
豚も放牧に向かない(猪突猛進?)せいかあまり食べないようです。
実際、鶏肉と豚肉は高くて贅沢品とのこと。こないだ、地方のゲルにお邪魔したとき、
タルバガン(ペスト菌を媒介する大ネズミの1種)の丸焼きをごちそうになりました。
血とか内蔵がごちゃまぜになった脂ぎったスープを渡されたときには、
おもわず逃げ出したくなりましたが、
これも国際交流と気合いを入れて一気飲みすると意外と美味しく、
肉もささみのようで実に野趣あふれる味でした。
   
  モンゴル人はアルヒというウォッカ(40度)をキモ(そのまま割らずに)で呑む習慣があり、
何杯も勧められるのには閉口します。水割りならいけますがキモはどうも.........。
B型肝炎が多いことと大酒家が多いことから、肝疾患は相当多いようですが、
S-Bチューブは大学病院にもなく、食道静脈瘤破裂で吐血したら手術しかなく、
手術が間に合わなかったら.........というような状況のようです。
医療状況に関しては別の機会に書きたいと思います。
   
  衣服は買えますが、デザインがいまいちですね。でも、仕立屋さんが一杯あって、
きちんとオーダーできます。気に入ったシャツと布を持っていくと同じように作ってくれます。
布代を入れても1着30,000Tg位で出来ますね。カシミアが安い国なので、
オーダーのコートを作成する邦人も多いようです。
自動車のシートカバーも売ってないんですが、オーダーできれいに出来ました。
少し高めで、42,000Tgでしたが、肘掛けまで精巧な縫製で2日で出来上がりました。
実に器用な国民性と感心しましたが、
助手席と後部座席のヘッドレストを預けさせられたのにはちょっとビックリ。
家具も種類が少ないのですが、無いものは大工さんに作ってもらえます。
子供の食卓用いすを30,000Tgで作ってもらいました。
1週間で一応出来たら足が高すぎて切ってもらったのはご愛嬌。
わざわざ作ってもらうという発想は、人件費の高い日本では忘れ去られた感がありますね。
   
  住宅は広くて安いですが、市内の1部ではNHKが見られます
(ワールドプレミアムNHKテレビ放送、世界各地の巨大パラボラで受信できる。
当地では大使館と、一部のケーブルテレビで視聴可能)。
でもNHKの見える世帯はお湯の出が悪いとの評判で、一長一短がありますね。
私は大使館内住宅なのでお湯もテレビも停電対策もOK。恵まれていますね。
テレビは他にモンゴル国内放送2局とCNN、ロシア系、韓国系、香港系各1局が見られます。
NHKの視聴率はすごく良いでしょうね。ほとんどそれしか見てません。
昼には「お母さんといっしょ」がやるので、赤ん坊連れには助かります。
時差の関係で1時間遅れです。巨人戦の扱いが小さいのが残念です。
モンゴル人も、相撲と朝の連ドラは好きのようです。
日本のビデオで、録画済みのものを見るのはもちろんOKですが、こちらの番組を録画できません。
方式が違うようです。ゲルでも都市に近ければ、電線から電気を取ることが出来るようです。
でも夏は22時くらいまで明るいので、電気なしでも大丈夫だそうで.........。
   
  マーケットや電気屋はあちこちにあります。デパートは国立の4階建てのが1件のみ。
デパートといっても日本でいえば、2階建てのジャスコかダイエー位の品揃えで、
スーパーの規模ですね。
ディスコや映画館もあるらしいですが、まだ行ってません。
けっこう日本人女性もナンパされるらしいです。
ザハと呼ばれる市場があちこちにあって、それこそ何でも売ってます。
(コーラの空き缶まで!)モンゴル人と一緒でないと危険ですが、安くものが手に入ります。
でも、一種のフリーマーケットですので、品質や耐久性は保証できないのが何ですが。
 
  市内は、比較的安全ですが、スリや泥棒は多いとのこと。酔っぱらいも多く、からまれると面倒です。
やくざの類はいないので、ケンカして勝てば二度と被害に遭わないそうですが、
ケンカは苦手なのでしていません。
ストリート・チルドレンはそれこそ至る所にいます。何かくれと物乞いするのから、
勝手に汚い泥水で車を拭いて(汚して)お金をせびるものも。
日本の篤志家から、テレビで見たのか自転車を送りたいと寄付された方がいましたが、
きっとザハで売り飛ばしてしまうでしょうね。彼らは孤児院にも入りたがらず、
ものをもらってもお金にして使い、マンホールでの自由な生活を望んでいるようで、
根本的な解決法はまだ無いのが現状のようです。
ただ、彼らが開けたマンホールは蓋がないため、落ちる日本人観光客がいるのが問題です。
私は内科医なので、腱縫合とかまでは自信がありません。落ちないように祈っています。